一般社団法人日本癌治療学会 よりのお知らせです 2017/08/01
☆ESMO/Anticancer Fund Guides for Patients日本語訳掲載について
本会では,ESMO(欧州臨床腫瘍学会)診療ガイドラインに基づいた患者向け情報
“ESMO/Anticancer Fund Guides for Patients”の日本語訳版「ESMO患者の手引き」を作成し,
本会ホームページで公開しております。
8月1日付にて,新たに「骨の肉腫」「軟部肉腫」を掲載いたしました。
下記にてご覧いただけますのでご案内申しあげます。
* [ESMO/Anticancer Fund Guides for Patients]日本語訳「ESMO患者の手引き」
「がん対策推進基本計画」の当初計画期限は平成23年度です。そして次期平成24年度以降の「がん対策推進基本計画」について見直しがされています。この機会に今まで議論されてこなかった下記議題を次期こそ議論してもらうべく患者団体より要望が出されることになりました。
未議論テーマ
・ドラッグラグの解消に向けた議論
・患者、家族が抱える就労問題、経済的負担の解消に向けた議論
・科学的根拠に基づくがん検診の普及、啓発、精度管理(擬陽性・過剰診断などの不利益を含む)
に関する議論
・サバイバーシップ概念の普及に関する議論
当会でも要望をさせていただきました。以下が内容ですのでご報告いたします。
「肉腫対策推進のため「がん対策基本法」の見直しと協議会での議論のお願い」
がん対策基本法施行より5年、癌に対してはなおいっそうの対策推進が必要とはいえ取組はされてきつつあります。しかし肉腫は未だに無対策、放置状態にあります。肉腫は非上皮細胞であればどこの部位にも原発し転移していきます。部位別・専門医療体制の中では診察未経験の医療関係者が存在します。また再発転移の肉腫患者にとっては主治医がないまま各地の専門医を渡り歩くいわゆる「がん難民」に陥りやすい。がん対策基本法の見直しとがん対策推進計画に肉腫対策を盛り込んでください。希少がんは肉腫だけではないとなれば、是非とも「希少がん」の分野別施策として肉腫患者の救済の実施を要望いたします。
具体的議論の提案
・ドラッグラグの解消に向けた議論
オーファンドラッグの承認数が少なすぎることについて、製薬会社の営利主義による弊害があります。研究者の研究費不足による研究の遅延があります。是非とも国での予算付けが必要です。
・患者、家族が抱える就労問題、経済的負担の解消に向けた議論
経済的負担:上皮がんについては保険適用される同じ薬剤が非上皮がんである肉腫には適用外になる。例えば低悪性度子宮内膜間質肉腫の唯一の治療とされるホルモン療法は保健適用外のまま一生飲み続けていかなければならず、再発転移と副作用の恐怖とさらに金銭的負担で患者は三重苦をしいられている、せめて乳がんで保険適用される薬剤は子宮肉腫においても適用すべきである。
非上皮のあらゆる場所に発生し転移する、エビデンスに乏しく確立した治療法が無い、よって肉腫患者の治療はすべて「実験的治療」といえます。金の切れ目が命の切れ目になることのないように救済していただきたい。
・科学的根拠に基づくがん検診の普及、啓発、精度管理(擬陽性・過剰診断などの不利益を含む)に関する議論
検診:肉腫に関してはいまだマーカーが発見されていない。ドラッグラグ、オーファンドラッグ問題と共通して研究者への国費での予算付けは必須。
啓発:肉腫というがんの存在の啓発と大阪府成人病センター肉腫外来を中心とするキュアサルコーマセンター(アメリカのSCに近い)等の肉腫専門または肉腫治療のハイボリューム病院をがんガイド冊子へ掲載する。希少がん検索システムを開発しUPしていく。
精度管理:子宮肉腫についてはカラードプラー法により血流の状態で診断されるという報告があります。カラードプラー超音波装置でのエビデンスの集計してください。肉腫専門医はMRI読影のみで判断できます。肉腫専門医の優遇と育成に文科省と協力して予算をつけてください。
・サバイバーシップ概念の普及に関する議論
肉腫患者は患者会を組織するにも数がとぼしく、集団での訴えの提起が届きにくい状況下にいます。治療法も再発を知る手立ても乏しく手術と治療費の負担と就労困難の日々でのアドボケート活動は無理に等しいものがあります。その少数の中のさらに少人数のサバイバーによる活動はおのずと世間の興味の外にあり関心を引くことができません。肉腫患者と接したことがない医療関係者が多い中で、QOLを維持しながら肉腫患者として生きていくには孤独な状況下にあります。サバイバーが少ない患者にたいしてどうサポートしていくのかということも議論していただきたい。
=======以上を要望させていただきました。
なお未議題テーマに関しての個別要望は国のがん対策推進協議会の副会長でもあり患者団体グループ・ネクサス代表の天野慎介さんが取りまとめてくださるそうです。
「TEAMSARCOMA大阪肉腫会」として要望を出す機会を与えてくださいました桜井なおみさま、片木美穂さま、西舘澄人さまはじめ関係各位の皆様に感謝申し上げます。
なお今般の要望には載せませんでしたが国の未議題テーマに沿って大阪府に対しても以下の事項を当会のこれからの運動の重要な要素といたします。
・科学的根拠に基づくがん検診の普及、啓発、精度管理(擬陽性・過剰診断などの不利益を含む)に関する議論
大阪府はすでに検診率の上昇を課題とし、これまでも「大阪府がん対策推進計画協議会」や、各分化会にて議論されてきました。これからはさらに踏み込んで具体的な対策案を協議する必要があると思われます。
具体的対策案として大阪府の取組
「がん登録と住基ネット情報の照合システム開発【事業内容】地域別のがんの発症状況の把握や医療水準の指標となる「がん登録」制度の精度を高めることにより、がん予防対策への一層の活用を図るべく、生存・府外転居情報等を正確に反映させるため府住民基本台帳ネットワークとのデータとのデータ照合システムを開発する。」(以上大阪府http://www.pref.osaka.jp/yosan/cover/index.php?year=2011&acc=1&form=01&proc=6&ykst=1&bizcd=20111098&seq=1より抜粋)
組織型検診とは
http://nikkannkyou.web.fc2.com/data/osaka/11214hu_gan_lec.pdf
この大阪府の全国に先駆けての画期的な取組である組織型検診のシステム確立のために患者として協力するとともに、どのように推進されるのかを希少がん患者の立場から見守っていく必要がございます。
また今般の未議論テーマの一つ「サバイバーシップ概念の普及に関する議論」につきましては当会においても考えていかなければならないとあらためて想起させていただきました。
肉腫患者のサバイバーシップについては困難な点をいくつかあげることができます。
1.エビデンスも少ないため、一般に言う生存率については確信が持てない状況にある。
2.標準的治療方法がないということは積極的な治療の完了がないということだといえる。
3.ひとまず治療は終えたとして、その後のフォローアップ計画も手探りである。
これらの要素は、そもそも訪れるべき普通の生活が自分にもやってくるのかどうかもわからないという不安な状態に患者をさせます。キュアサルコーマセンターにめぐり合えた者はそれらの不確かな事を一つ一つ確実なものに変えて精神面で立ち直ることもサポートしてもらえます。しかし、仕事・治療費などの物理的な問題はキュアサルコーマセンターでは対処できません。難しい課題ではあります。
【2011/08/08】
「日本希少がん患者会ネットワーク」は、
成人がん、小児がんなどの枠組みや年齢にかかわらず、患者が少ないために、診療体制の整備や、治療法開発(手術、薬物療法、放射線療法、免疫療法等)、基礎研究、およびその情報公開が遅れている希少がんの状況の改善に取り組み、希少がん患者と家族が尊厳をもって安心して暮らせる社会を目指すことを目的として設立されました。2017/8/10
現在13の希少がん患者団体(*)の役員がこのネットワークに名を連ねています。
役員には、
眞島喜幸会長、大西啓之副会長、西舘澄人副会長、馬上祐子事務局長ほか、各理事が決まりました。
設立時の希少がん患者団体名(13団体)
NPO法人脳腫瘍ネットワーク 副代表 田川尚登
キュアサルコーマ 理事長 大西啓之
稀(希)少がん患者全国連絡会 代表 鷲田和雄
胸腺腫・胸腺がん患者会「ふたつば」 共同代表 山本ゆき
小児脳腫瘍の会 代表 馬上祐子
神経内分泌腫瘍患者会(パンキャンジャパン) 理事長 眞島喜幸
GISTERS 理事長 西舘澄人
「すくすく」網膜芽細胞腫の子どもを持つ家族の会 代表 池田小霧
精巣腫瘍患者友の会 J-TAG 副代表 古谷浩
肉腫の会 たんぽぽ 代表 押田輝美
メラノーマ患者会 Over The Rainbow 代表 德永寛子
ユーイング肉腫家族会 代表 有國美恵子
腹膜偽粘液腫患者支援の会 副代表 東靖子